補聴器を始めるならお早めに!早期装用が良いとされている理由

補聴器を始めるならお早めに!早期装用が良いとされている理由

 

より良いコミュニケーションと心の健康

 

難聴の場合、本来なら問題なく聞き取れるはずの会話もスムーズに進まず、同僚や家族、友人とのコミュニケーションがうまくいかないことがあります。このような状況下では、人間関係が希薄になりがちであり、放置すればストレスやうつなど心の健康に影響を及ぼす可能性もあります。

しかし、補聴器を使って聞こえを改善することで、日常の会話や雑談、冗談のやり取りなどが楽しめるようになり、コミュニケーションの改善が期待できます。聞こえの改善は円滑なコミュニケーションを助け、人間関係を改善し、生活の質(QOL)を向上させる一助となるでしょう。

生活上の危険の回避

後ろから近づいてくる車や自転車に気づかず、驚くような体験をしたことはありますか?周囲の状況を把握するためには、音が非常に重要です。しかし、軽度の難聴でもこの重要な音が聞き取りにくくなってしまうことがあります。

自動車や自転車に乗っている人は、他人の聴力状態を把握することができず、自分が近づいていることを歩行者が察知していると想定しています。そのため、自転車が近づいていることに気づかない歩行者が急に動いて、後ろから来た自転車と衝突するなどの危険な状況が生じることがあります。

補聴器は、周囲の状況を把握して危険を未然に防ぐのに役立ちます。両耳を装着する場合、音の方向性がより明確になり、より安全な状況が得られます。

さらに、ジョンズ・ホプキンズ大学の研究によれば、軽度の難聴でも健聴者と比べて転倒リスクが3倍になることが示されています。また、難聴が進行するほど転倒リスクも高まります。高齢の難聴者の場合、加齢による身体機能の低下も影響し、転倒による重大な傷害のリスクが増大します。


音で脳に良い刺激を与える

 

 会話でのコミュニケーションは、当たり前ですが「耳で言葉を聞き取る」ことから始まります。耳で言葉を聞いて、脳で思考し、言葉で返す、というのが会話をするときの処理プロセスです。

あまり知られていませんが、言葉を聞き取る能力は、使い続け、刺激を与え続けなければ衰えてきます。人間の他の部位と同じですね。難聴の状態が長期間続くと、脳が「聞こえないことが普通だ」と誤解して、活動量が減少し、聞き取る力が衰えてしまいます。そして次第にミュニケーション能力も衰退していきます。

補聴器を早期に装用すると、いち早く十分な音を脳に伝えられるので、脳は音の刺激を受け続けることができ、精神的な活力を維持しやすくなります。

難聴と認知症の関係は近年しばしば指摘されています。2020年、世界的医学誌LANCETで「アルツハイマー病協会国際会議」の総説が発表されました。認知症のリスク要因の中には、予防可能なものがあり、その中で一番大きなものが、「難聴を放置すること」であると報告されました。

難聴になると必ず認知症になるわけではありませんが、難聴によりコミュニケーションが少なくなったり、社会との関わりが減ったりすることで、認知機能に影響が出る可能性があります※。

 

早くつけると早く慣れる

軽度の難聴であっても、早めに適切な補聴器を使用し始めることで、補聴器を通じた聴覚に早く慣れ、その効果をより早く実感することができます。一方で、補聴器を装着しないままの期間が長引くと、聴覚関連機能が衰え、補聴器を装着しても効果を得にくくなる可能性があります。

日本では、65歳を超えると難聴の割合が増加しますが、補聴器所有者の割合が上昇するのは75歳を超えてからです。つまり、多くの人々は難聴に悩んでいても、補聴器を装着するまで我慢してしまう傾向があります。しかし、長期間にわたって難聴に耐えながら生活することは本当にもったいないことです。さらに、補聴器を装着せずに時間が経過すると、聴力がますます低下する可能性があります。

調査によると、補聴器所有者の半数以上が「もっと早く補聴器を使用していればよかった」と感じています。もし難聴の症状がある場合、耳鼻咽喉科の専門家から補聴器が役立つと勧められた場合は、まずは補聴器を試してみることを検討してください。設備の整った販売店では、聴力測定を行い、個々の耳に合った補聴器を調整して貸し出しています。自宅などで日常生活の中で補聴器の効果を体感することができます。まずは相談だけでも気軽に訪れてみてください。